不動産業界は、世間の数ある業種の中でも特に「デジタル化の余地が大きい」といわれている業界です。
これは、現時点でアナログ的な業務が多く事務作業自体も多いこと、そして近い将来に到来する新しいデジタルテクノロジーとの相性がよいことが理由です。
AR/VRによる極力人手を排した内覧の実現や、IoTによるスマート住宅。DXによって分析・効率化される物件管理・仲介。
今回ご紹介するRPAは、いわゆる不動産テックのカオスマップには掲載されていませんが、定型業務をRPA化することによって、人間はデジタル活用の戦略を考えることに専念することができます。
では、不動産業界でどのようにRPAが活用されているのか、ご紹介したいと思います。
1_入金管理業務
業務のイメージ図
業務の概要
一定の規模の不動産会社では、入居者からの銀行振り込みの実績確認が、毎日の業務になっていると思います。
取引のあるすべてのネットバンキングサイトにアクセスし、最新の振り込み情報を確認したうえで、専用のシステム上で入金実績のあった請求レコードを消込み、さらに一定の期日までに振込の確認が取れなかった未納者の対応などの業務です。
この業務は、日次業務かつ振込金額と請求金額の比較確認をするという人為的ミスを誘発し易い側面ももっています。
一方、機械的に処理をすることができる「定型業務」でもあります。
上記の「入金管理業務」をRPA化することによって、大幅に人の作業を削減することができました。また、人為的なミスをゼロにすることもできました。
2_物件の相場調査
業務のイメージ図
業務の概要
不動産会社で扱う物件に関しては、物件の所在地(地域)、間取り、築年数などによって「相場」が存在しています。
そのため、物件を求めているお客様からのご要望に基づいて、地域の賃貸・物件情報を管理しているポータルサイトにアクセスし、紹介予定の物件の相場を確認する必要があり、その業務を複数の担当者で行っていました。
※相場の確認は、同一条件で複数の物件を調査し平均値を算出する必要がある。
上記の「物件の相場確認の業務」をRPA化することによって、大幅に人の作業を削減することができました。
3_入居者様からの問合せ管理
業務のイメージ図
業務の概要
今事例で紹介している不動産会社と入居者は、特定のスマホ用アプリを使って、不動産会社への苦情や確認・連絡などのコミュニケーションを取っています。
入居者が、スマホ用アプリに問合せ事項などを入力して送信することによって、その内容がメールとして不動産会社に伝達される仕組みになっています。
スマホ用アプリで送信されたメッセージは、規則性をもってメール本文に変換されるため、送信者の氏名や要件のジャンル、詳細な問合せ内容が機械的に抽出できる状態になっています。
従来、入居者からのメッセージは人の手作業で専用のCRM(Customer Relationship Management)システムに入力していましたが、一連の作業をRPA化することによって、大幅に人の作業を削減することができました。
不動産業界のRPA事例
以上、不動産業界のRPA活用事例を3例紹介しました。
今回の事例はあくまで一例で、RPAはどのような定型業務であっても工夫次第で自動化を実現することができます。現代は、人間が長時間かけて定型業務をする時代ではありません。
ぜひRPAを活用して、人間は人間にしかできない戦略的・デジタル活用的な経営にシフトしましょう。